Roman2_5 LAVAのスタジオに遊びに行った時、紹介されて初めて聴いたRoman Andrénの『Juanita & Beyond: Live Studio Sessions』。
温かみのある音色、オーガニックで美メロなブラジリアンサウンド、アフロビートをまろやか仕上げたジャズファンクナンバーなど、さまざまなテイストの音楽が詰め込まれた音楽は決して散漫な印象ではなく、僕が求める音楽がそこにはあった。
「Bumblebee」に酔いしれ、「O Mundo É Seu (The World Is Yours)」に興奮し、いつしか目の前でライブを見てみたいという抗しがたい欲求は日に日に高まっていった。
そんな中、リリースから1年、ようやく待望の初来日が実現した。しかもドラム以外は『Live Studio Sessions』のメンバーだ。否応なく期待が高まる。

僕は2日目のファーストステージを鑑賞した。ライブは定刻通りに始まり、1曲目は「Let’s Live Forever, Love」。『Live Studio Sessions』からの楽曲が続き、途中Antonio Carlos JobimやBill Withersのカバーなどを交えながら、ステージは進んでいく。
そして、ついにRomanが「この曲は僕の娘にささげた曲なんだ」といいながら、「Bumblebee」の演奏が始まった。ボーカルはRoman自身が務め、ピアノ弾き語りで幕を開ける演奏に、温かくてやさしい空気が会場全体を包む。会場のあちらこちらでは涙するオーディエンスも。。
決して、歌がうまいという感じではないけど、素朴な歌声で曲を大切にしている感じがたまらなく美しい。バックミュージシャンも時折見せる笑顔に充実した演奏をうかがわせる。そう、みんな幸せそうなんだ。このオーラがきっと音楽には大切なんだと思う。

今回のインタビューは8月8日にライブ前にバックステージで行ったものです。

・初めての日本の印象はいかがですか?
いろいろあるけど、日本人は親切だし、とても居心地がいいよ。

・昨日(8月7日)、ライブをされていますが、お客様の反応はいかがでしたか?
とても素晴らしい経験だった。スウェーデンの反対側にいる人たちが自分の曲を聴いてくれて、感動してくれているがとても不思議だったよ。
作品を作っているときは、作業がとても大変だったけれど、これだけ多くの人に評価してもらったことは純粋にうれしい。

・僕は昨年一番聴いたアルバムがこの『Live Studio Sessions』でした。
どうもありがとう!
前作の『Juanita』はとても時間をかけて制作をしたけど、『Live Studio Sessions』の制作期間は2か月という短い期間で完成させたんだ。
ライブアルバムは作ったことがなかったので、僕自身とても良い経験ができたと思っているよ。録音した時の雰囲気がうまく伝わればいいなと思っている。

・『Live Studio Sessions』に収録されている「Bumblebee」は最高に素晴らしいですね。
そんな風に言ってくれてありがとう。とてもうれしいよ。
あの曲はメロディはすぐに浮かんだんだけど、自分が納得する完璧な歌詞を作るのが大変だったね。

・今回来日したメンバーについてご紹介ください。
Susanne Ottebringは『Juanita』に参加してもらったボーカリストだよ。
Mats Nordenborgはサックス以外にもフルートも演奏するんだ。『Juanita』では演奏以外にも曲のアレンジやプロデュースも手伝ってもらったよ。僕は曲作りで譜面に書いたりしないんだけど、彼が譜面に落としてくれるんだ。
Elias Källvikはギタリスト。彼は僕が住んでいるマルモで出会った素晴らしいギタリストだ。
Johnny Åmanはベースプレイヤーで3年ほど前に出会ったんだけど、彼はフィンランドから移住してきたんだ。彼も素晴らしいプレイヤーだ。
Marcus Liljequistはつい最近に出会ったプレイヤーで、ドラムをプレイする。まだそれほど多く一緒にプレイしていないけど、良い演奏をするよ。
Joselo Orellanaはパーカッションプレイヤー。曲にエネルギーを与えてくれるプレイが魅力。ベースのJohnnyとJoseloは現在制作中のアルバム、『Color Green』にも参加してもらっているんだ。

Roman1_4 ・『Live Studio Sessions』のライナーノーツに『Solar Ride』という次回作のことが書かれていましたが、『Color Green』はそのことをさしているのですか?
『Solar Ride』はサイドプロジェクト的なもので、ソウル、ディスコ、ファンクなど70年代テイストの音楽をやっていて、すでにレコードでリリースされているんだ。収録された「1983」という曲はまさにソーラーライドな感じになっている。
『Color Green』は『Live Studio Sessions』に続くアルバムになるんだ。

注:ソーラーライドというタイトルでは発売になっていないものの、収録曲「1983」から探してみたところ、「O Mundo É Seu (The World Is Yours) [Beatfanatic Remix]」でリリースされた12inchシングルを指していることが判明。

・あなたはDJもやりますが、DJはあなたの作曲活動の中で何か影響することはあるのでしょうか?
良い部分とあまりよくない部分の二つがあると思う。
DJを通して、60年代、70年代のファンク、ジャズ、ブラジリアンなど僕の好きな音楽のグルーヴやヴァイブスを自分の音楽に取り込めるというのは良い面だと思うけど、あまりDJをやりすぎてしまうと、音楽制作をするときに、自分の音楽を作ることが難しくなってしまう。
DJとミュージシャンとバランスをうまくとってやることが大切だと思うよ。あと、まったく音楽のない静かな時間というのも大切かな(笑)。

・DJをする時はレコードでDJするのですか?
CDとレコード、両方とも使うけど、レコードの方が好き。CDは楽だけど、レコードにはCDにはなってない曲があったりするし、フィーリングだったり、直観的な部分でレコードのほうが好きだな。

・あなたの音楽はいろいろな音楽の要素が盛り込まれていますが、DJをやったことの影響が大きいですか?
それはないね。
父は音楽が好きで、僕も一緒に音楽を聴いていたんだけど、その影響だと思う。父は60年代、シカゴのビックバンドでトランペットを演奏してたみたいだけど、スウェーデンに戻ってからは趣味程度で、自宅の地下室でトランペットを演奏していた。僕のアルバムで演奏してもらったことがあるよ。父はMaynard Fergusonが一番好きだって言ってたな。

・昔の音楽が好きということですが、どんな音楽を聴いているのですか?
Marvin Gaye、Quincy Jones、Deodatoとかが好きで、良く聴いているよ。
Deodatoは年代によって作っている音楽が違うけど、一番好きなのは70年代前半の頃の音が好きかな。でも、もちろんKool & The Gangをプロデュースしていた頃のDeodatoも好きだよ。

・北欧の音楽シーンは今どのような状況なのでしょうか?どんな音楽も充実した作品が数多くリリースされている印象がありますが。
昔の音楽が好きで、新しい音楽を沢山聴いているわけではないんだけど…。
The KnifeとかKOOPは好きだよ。ジャズに関して言うと、ジャズクラブは昔から沢山あって、大きなシーンがあると思うな。

・どうもありがとうございました!

Roman Andrénからのビデオメッセージ

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写真提供/コットンクラブ
撮影/土居政則

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