Manami_morita

今回東京JAZZに出演するために単独で来日をしたManami Morita。昨年会った時よりもずいぶんと力強くなったなぁという印象を持った。10月8日(9月8日タワーレコード先行発売)に発売となる2ndアルバム「For you」は前作に続き、ジャケットデザインも本人が手がける意欲作だ。

アルバムについてお聞かせください。

今回は前回の路線を踏襲するような作品になっています。レコーディングしたのは6月です。前回は時間がない中でつくったのですが、今回は時間がある中で作ったので、演奏自体は落ち着いていると思います。

どんなレコーディングだったのですか?

いいピアノで演奏したいなと思って、いろんな人に聞いたら、今回のスタジオがいいということになって。
コネチカットにあるスタジオなのですが、山の中にあって、Dave BrubeckやChick Coreaなんかもそこでレコーディングしているそうです。
スタジオってものすごく大きなミキシングコンソールがあるじゃないですか?それがないんですよ。セコイヤというソフトが入っているPCがあるだけなんです。

ベースとかはコンプレッサーをかけていないんです。出音のままなんです。エンジニアの方はそのスタジオのオーナーなんですが、HiFiにこだわっている人で、このアルバムは一切コンプをかけないで制作しています。なので、他のアルバムに比べるとずいぶんと音が小さい印象を受けるかもしれませんが、これが楽器のナチュラルな音なんですよ。

マイクもそれぞれの楽器に1本ずつセッティングしています。ドラムもバスドラム以外は1本のマイクで拾っています。

ただ、そのマイクはものすごいいいものを使っている。あと、リヴァーヴも昔の大きなリヴァーヴマシーンを使っているんですよ。今回のレコーディングは昔ながらの手法と最新の録音技術で作られた作品になっています。

マスタリングもこのエンジニアの紹介でマスタリングしてもらっているのですが、共通しているのはアコースティックな音楽しか録らない人たちなんです。

今回のアルバムはそんなところも意識して皆さんに聴いてもらいたいと思います。

昨年Colorsをリリースしてからどんな活動をしていましたか?

昨年の10月にNYに引っ越したんですが、競争が激しいですね。ただマイペースにできるので、それがいいです。日本にいると、結果をすぐに求められるような気がするし、NYには一線で活躍するミュージシャンが沢山いるので、そういうのも刺激になります。それまではボストンに住んでいたのですが、学生が多かったので、そのような環境にいることは良くないのかなと思って、NYに引っ越したんですよね。

おそらくこれからもずっとNYを中心に活動することになります。

収録曲の紹介をしていただけますか?まず1曲目に収録されているM☆GICはなんと読むんですか?

Jacket

今回のアルバムはFor youというタイトルをつけたのですが、誰かのために書いた曲を集めました。

このM☆GICは、私はエムギックって呼んでいるんでけど、MAGICで構わないです。この曲名の由来はMAGICって書いてある石をあるおばあちゃんからもらいまして、その石の真ん中に☆マークが書いてあったんです。それが由来です。そのおばあちゃんが奇想天外な人で、その人のことを考えながら、作ったんで、面白い展開の曲になっています。

アルバムは誰もが1曲目から聴くじゃないですか、だからすごくキャッチーなものを1曲目にしています。

Catch the Panduってどういう意味ですか?

曲自体は前に書いたものなんですが、とある日、コントロールルームにあったメンバーリストの紙に、Randyというギタリストの名前があって、それがすごい殴り書きでPanduに見えた、という面白いエピソードが元ネタです。深い意味はありません(笑)。

Shimaという曲は家で飼っている鳥の名前で、今回のスタジオでも鳴き声をレコーディングしています。最初はスタジオで緊張してなかなか鳴いてくれなかったんだけど、慣れてきたら普段通りピヨピヨ鳴いてくれて、その声が曲の最後に入っています。

ASAPはパーカッションのために作った曲なんですが、同時進行でいろいろと手がけていて、なかなかこの曲ができなくて、急がなきゃ!ってことでASAP(As soon as possible)となりました。

Moanin'やYesterday once moreといったカバーも収録されていますが、独自の解釈ですよね。

そうですか?めちゃくちゃメロディを弾いてますよ(笑)

Moanin'ですが、早い感じの曲はやればやるほど、同じような感じになってしまうので、何度も取り直すことができないんですよね。2テイクくらいしかとらなかったんです。

Sing nightlyは昔好きだった人のことを想って作りました。その頃私には付き合っている人がいて、相手にも彼女がいたんですが、そのことを想って作曲しています。夜にピアノを弾きながら作っていたので、Sing nightlyにしました。ロマンティックですよね。

                                                                                                                         
僕は7曲目のFall forwardが好きです。

私も一押しです。Fall forwardは私はこのアルバムの中で一番好きです。
秋になっていくという意味と前に倒れるという意味で、ベースのザックが名づけてくれて、レコーディングもメンバー全員楽しんだ曲でしたね。

Whereever I goは2日目にレコーディングしたんですが全然うまくできなくて、3日目にやったらすぐにできた曲です。この曲はメトリックモジュレーションというテクニックを使って複雑なリズムでテンポを変えていく曲なんですが、作曲当時Ari Hoenig(アリ・ホニッグ)というドラマーにはまっていて、その人のことを考えて作った曲です。

ラストはカーペンダーズですが。

Yesterday once moreは母が好きでよく聴いていた曲で、私も好きになった曲です。
アルバムもライブも派手な終わり方は好きじゃなくて、あー良かったねえ。いいまとまりだなって思ってもらえたらと思っているので、ラストにこの曲にしました。

今後の活動について教えてください。

12月には日本で全国ツアーを予定していて、12/2(thu) at Mt.Rainer Hall Shibuya Pleasure Pleasureが決まっています。それ以外のスケジュールもそろそろフィックスするので、是非お越しください!今年の3月のツアーでは大阪や岡山でのライヴが印象に残っていますね。今回も良いライヴにしたいです。

長期的な部分では、CDを毎年リリースをするということではなく、長いスパンで作品と向き合うようなものを残していきたいと思っています。

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